別海の夏
毎朝のルーティンのように日の出とともに起きて海へ行き写真を撮ったり釣りをしたりして思いのままの朝を過ごしている。元々は海から離れたところで過ごしていたから、海のそばで暮らすのは憧れていた。浜風の吹き付ける窓や玄関は砂が溜まってジャリジャリと音が鳴るのにはまだ慣れないが、そのドアを開ければすぐに広がる
毎朝のルーティンのように日の出とともに起きて海へ行き写真を撮ったり釣りをしたりして思いのままの朝を過ごしている。元々は海から離れたところで過ごしていたから、海のそばで暮らすのは憧れていた。浜風の吹き付ける窓や玄関は砂が溜まってジャリジャリと音が鳴るのにはまだ慣れないが、そのドアを開ければすぐに広がる
別海町へ移住して3ヶ月が過ぎた。色々とハードルの高かった移住だったが、それは決断することの連続でもあったり、試行錯誤の毎日だったなと振り返ると、荒削りだけれど新しいことを始めようというなら最初から上手くいくことなんてない。上手くいっている方が不安になってしまう。私の住んでいる地域にもだい
「いるかーい!」と元気に玄関が開いた。優しくてしっかりとした声はお向かいのお父さんだ。「これアサリとカレイの干物、そしてこれはアサリのフライね、食べなね。」またこんなにたくさん。新鮮だから美味しいのは当然だけど、ニコニコとした笑顔がまた美味しくさせる。アサリは
別海町も桜が咲き始めて春らしい景色が広がってきた。桜の色はどれも色が濃くて満開になったらさぞかし綺麗だろうなと楽しみにしているこの頃だ。早朝や夕暮れ時には海辺や湿原を散歩がてらに歩いている。そして久しぶりに釣りもしている。毎日自然に触れ包まれていることが多くなってきて、自
すっかりご無沙汰の更新になってしまった。しばらく実家に戻り父の残した物の整理、支払いや相続関係のこと、書類提出などは煩雑で銀行や役所の窓口で聞きながらペンを走らせてきた。時間の要することもありまだ暫くは続く感じがする。時折溢れてくる哀しい気持ちはやがて乾いていくのだろうか。父がお
昨日は力強い風雨がやって来て一日中横殴りの雨だった。強風は夜中まで続き朝方には少し青空も出ていた。春らしい天候とでもいうのか、気温は少し暖かい夜だった。その前夜は何か気配がして玄関を開けるとエゾシカが2頭こちらを気にすることなく草を食んでいた。その数日前には2kmほど離れた牧草地でヒグマがいたそうな
ヤウシュベツ川に掛かる万年橋を渡るとエゾシカの群れも川を渡っていた。ただ1頭の若いオスが氷が割れてしまい半身が落ちてしまっている。群れは彼を一身に見守り、やがて若いオスが何とか這い上がると開けた湿原を駆け抜けて行った。どれほど怖かったか、不安だったかは計り知れないが、生きることは死に物狂いだ
風向きで流氷は沖から浜までやって来て海を真っ白に変えた。空気も水も冷やされて海風はビリビリと頬に冷たくて、両手はポケットに突っ込んだままになる。それでも今日は穏やかで暖かな一日だった。流氷の上にオジロワシが止まっていたのでカメラを向けるとすぐに警戒された。生き永らえる術はこの警戒心か。お
そろそろ日向では地面を押し上げる準備をしている緑や黄の類が、そして空気は日毎に柔らかになってきているように感じるのと、家の隙間からやたらとワラジムシが出てくるのを見るとやっと春が来たのかなと思える。いや、たまったものではない。空気に色はないけど、それを淡く春色に見てしまうのは私的な都合だ
筆がすすまない。2月も終わる頃に父が急逝した。父のしんどくも精一杯生き抜いた軌跡を見付けた時には大きな後悔と悲しみに暮れたこの半月、ひと段落したので一旦戻ってきた。生前に受け継がなかったものを、聞きたかったことなど、あとは拾い集めて自分なりに解釈をして組み上げていくしかない。父が