二月の春

作り置きしている残ったお茶をもったいないからと寝る前に全部飲んだら夜明け前にトイレに行きたくて目が覚めた。昨夜はなかなか寝付けなかったから布団に戻りもう少し寝ようと思ったけど、せっかくだから朝陽の写真を撮ろうと着替えて車に乗り込んだ。

外はいつもよりは冷えていた。窓ガラス一面に雪の結晶のような形の霜が張り付いていて、表示されている気温は-13℃。ハンドルが氷のように冷たくなっている。晴れてはいたけどあいにく水平線には雲なのか靄なのかがかかっていて日の出は撮れそうもなかった。

走古丹へ向かって行くと蝦夷鹿の群れが朝陽を浴びるようにして動き始めていた。まだ座っているものもいる。枯れ草の辺りで何かを食べていたり、車を警戒しているもの、気にせずうろうろしているものまで、鹿も人も様々と個性があるのだろう。蝦夷鹿をしばらく観察していると頭上をオジロワシが飛んでいったのでもう少し先まで行ってみる。

先日の吹雪でできた吹き溜まりを数カ所超えて浜辺近くに車を停めて歩く。流氷の残骸が波で洗われて丸みを帯び奇岩のようになっている。まだ2月なのになんだか春のような光景だ。風蓮湖の方を見ると蝦夷鹿のオスの群れ?が氷上を歩いてきた。エゾシカの生態がよく分からないのだけど、オス同士群れで生活するものなのね。

本別海周辺の散策は動植物との出会いがたくさんあって飽きない。ここに住み始めてまだ日は浅いけど、不便に目を向けるのではなくて、どう楽しむかを描くことだと考えている。自分にとっては飲食業や写真業を経験していることもあって被写体や食材の宝庫でしかない。ただ時間が経てばやがて当たり前に落ち着いてしまうのだろう、そうも思っている。その時に今と同じ感覚でいられるのだろうか。

ただ、自由の中に自分を描ける人にならないと仕事も遊びもつまらないものになってしまいそうで、それは少し考えると怖いことだと思う。

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