「いるかーい!」と元気に玄関が開いた。
優しくてしっかりとした声はお向かいのお父さんだ。
「これアサリとカレイの干物、そしてこれはアサリのフライね、食べなね。」
またこんなにたくさん。
新鮮だから美味しいのは当然だけど、ニコニコとした笑顔がまた美味しくさせる。
アサリは酒蒸しでも良いし、お味噌汁も良い。でもお味噌汁が美味しいよと見送る玄関先で話してたから、すぐお味噌汁にした。
アサリと長葱だけのシンプルなお味噌汁。肉厚で濃いアサリの出汁で箸が止まらない。カレイの干物は少し焼き過ぎたけど、そのぶん香ばしくて骨まで食べれた。もうこれだけでご馳走だ。焼いたり、煮たりするだけでこんなにも美味しいんだな。上質とはこういうことなのかも知れないね。
残りはパスタと酒蒸しにしてみようか。
ここ最近のお裾分けの破壊力ときたら度肝を抜かれてばかりだ。
野付の千島桜
ところで、別海町も桜が満開になってきた。濃い桃色の桜が道沿いや森の片隅にそこかしこに咲いている。
近くに「野付の千島桜」と呼ばれる樹齢120年を超す老木があり立ち寄ってみると堂々とした佇まいで咲いていた。千島桜は香りが強く花色は開花時期と終わり頃は淡い紅色で、満開時には白色へと変化すると言われて、その移ろいも楽しめるようだ。この周辺には千島桜や蝦夷山桜があるようだ。
木々の芽も若草色になりそろそろ新緑の季節になってきている。森へ入ると様々な種類の小鳥の鳴き声が響き渡っていて心が洗われるかのような気持ちになる。湿原河川の流れは穏やかだが力強い。あまりに美しい自然につい時間を忘れかけてしまうが、そんな時こそこちらの存在を動物たちに知らせないといけない。無用な争いはすべきでない。
そんな別海町の春だ。
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